摂食障害は、有名人では例えば英国のダイアナ元妃やカレン・カーペンターズなどが苦しめられていた病気です。
最近は、そういった若い女性だけでなく10歳未満の子ども、中には6歳という幼さでも入院が必要なほど重度な摂食障害に苦しんでいるという報告があります。
摂食障害のうちで、いちばん一般的なのは
拒食症と
過食症です。
《拒食症について》
拒食症(神経性食欲不振症)の人は、食べるのを拒否するか、ほんの少ししか食べないので栄養失調になります。
拒食症は極度の精神的なストレスが引き金になるケースもあるそうですが、多くは数キロほどやせようと決めるところから始まります。
しかし、少しして目標を達成しても満足しません。
鏡を見つめて、自分はまだまだ太っていると思い、さらに減量します。この循環は、その人が身長に対する標準体重のマイナス15l以下になるぐらいまで続くことがしばしばです。
そこまでくると、家族や友人は心配し始めますが、本人はそうは思いません。
まわりからみれば骨と皮だけになっていても、自分を正しく見ることができず、まだ痩せるべきだと思い込み続けます。
拒食症は骨粗鬆症や腎臓障害などの深刻な問題につながり、死ぬ場合もあります。
《過食症について》
過食症は、むちゃ食い(5000カロリー以上になる大量の食物を短時間で摂取)し、その後吐いたり下剤を使ったりして食べたものを全部出そうとしたり、激しく猛烈な運動をするという行動が特徴です。(※摂取のみで排出しない強迫性過食も摂食障害とみなす場合もあります)
この障害を持つ人は、拒食症の場合のように痩せているわけではないので、はた目にはほとんど分かりません。
際限なく食べれば当然体重は増えるはずですが、過食症の人はそれを必死で防ぐために食べ物が体脂肪に変わらないうちに体外に出そうとします。
中には、そうすることで減量にうまく成功したために今度は拒食症になる人もいます。
そのような人は拒食と過食を繰り返すようになることが多いようです。
拒食症の人は、はじめのうちは食べたものをすぐに吐き戻すことに嫌悪感や恐れを感じるようですが、繰り返せば繰り返すほど簡単にできるようになり、だんだんと衝動を感じるようにさえなってきます。
言うまでもなく過食症は拒食症と同じくとても危険な病気です。
例えば、嘔吐を繰り返すことにより口が胃酸にさらされて歯のエナメル質が溶け出したり、胃に裂傷が起きることもあります。
また食道、肝臓、肺、心臓にも害が及びます。下剤の使いすぎにより腸がおかしくなり、下痢が止まらなくなったり直腸から出血するケースもあります。最悪死に至ることもまれではありません。
ほとんどの患者が若い女性と言われているこの病気の原因は何なのか、家庭環境か、やせの文化か、遺伝か、はっきり診断を下すのは難しいようです。
しかし、大きな要因として小枝のように細いモデルを見せて、痩せている女性ほど美しいと錯覚させるファッション業界の影響(平均的な女性は身長165センチ・体重66`に対し、平均的なモデルは身長180センチ・体重50`といわれ、
95%の人はこの数値に当てはまらず、この先あてはまる見込みもないそうです)や自尊心の低さ、発散できないストレスやフラストレーション(家庭内の問題やいじめ、過去に受けた性的いたずらの傷などが挙げられます。
また中には、友人に体重のことでからかわれたとか、家庭でいつも体重のことが話題になる、まわりと比べて成長が早いなどの理由で摂食障害を抱えるようになった人もいます。
何が原因でなったにせよ、この病気はほっておいて自然に治るというものではありません。早急に治療をする必要があります。
治療法としては戸惑うほど多くの提案があるようですが、ここでは取り組む必要のある最低限の問題をとりあげます。
- 体形について平衡の取れた見方をする
ファッション業界の雑誌を一切買わないようにする、
ほっそりとした体形を推すような宣伝や本、映画などを見ないなどして、痩せている=美しいという宣伝にのらされないようにします。
実際、男性はがりがりに近い体形よりも少し肉付きの良い体に魅力を感じると言われていますし、健康的な体こそがいちばん美しいものです。
- 自尊心を高める
摂食障害は、自尊心が低下しているときになりやすいそうです。
今まで成し遂げてきたことや、自分の良いところを自分で評価し、自尊心を高めるように努力することも大切です。
あるがままの自分を受け入れ、好きになり、積極的になるよう心がけましょう。
- 相談する
医師、友人、家族など心から信頼できる人に打ち明けることで克服できた人が大勢います。
自分ではなく家族や友人などがこの病気を患っている場合は、本人が上記のようにできるよう手助けすることができます。
すでに薬物療法、心理療法、同居人のカウンセリングなどいろんな治療法を試してこられたかもしれませんが、必ず治すことができると信じて当人もまわりの人たちもがんばっていってほしいと思います。